櫻と雲と

男は煤(すす)けた青春と 掴めぬ夢に挟(はさ)まれた
切ないだけの生き物と 本当は心で知っている
女は昨日も明日(あす)もなく 誰かにふれている時の
現実(いま)だけあれば倖(しあわ)せと 悲しいくらいに解ってる
男と女 どこか櫻の花に似て
はらはら咲いて
はらはら咲いて
それを愛だと 信じてる

男は心に井戸があり 覗けば何も見えなくて
小石を落とす水音の 谺(こだま)の痛さを知っている
女は時間を止めたまま いつも生命(いのち)を引き換えに
母よりもっと美しい 自分の姿を宿してる
男と女 どこか霞(かす)んだ雲に似て
ふわふわ流れ
ふわふわ流れ
それを愛だと 信じてる

男と女 どこか蛍の夢に似て
ゆらゆら灯(とも)し
ゆらゆら灯(とも)し
それを愛だと 信じてる
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