玄界情話

酒と度胸じゃ 負けない人も
芯はやさしい お人好し
強いだけなら 松五郎さんに
なんで子供が 馴付きましょう
ねじり鉢巻 母子を乗せて
今日も韋駄天(いだてん) 人力車

やっさやれやれ 掛け声ひびく
小倉祇園は 太鼓山車
あれは私と 子供のために
叩くつもりか 撥さばき
鬼も恐れる 無法と言うが
いいえ 仏の 男伊達

女なりゃこそ 心に沁みる
熱い男の 眼差しは
恋も叶わぬ 母の身ならば
気付きながらも 知らぬ振り
祇園太鼓も 私の耳に
泣いて聴こえる 乱れ打ち
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