途中までの方程式

ガラス越しに見える ひとつ後ろの車両
いつも 見慣れていた 懐かしい あの横顔
少し背が伸びたかも あれから もう何年?
不意に 声をかけたら まだ気付いてくれるかな…

ねぇ おぼえてる? 数学の時間に 先生の目をかすめて
ノートの隅っこで「○×」や「25」競い合ったよね

本当は 大好きだったよ でも 言えなかったよ
毎日がただ 楽しくて 壊したくなかったから

本当は どう思ってたの? ねぇ ただの友だち?
解けないままで 忘れようとした 途中までの方程式

偶然 同じ駅で降りた 君の横顔
少し目で追うけど 近くに行けないまま
不意に 君が手を振る 可愛い笑顔のひと
きっと彼女なんだね 優しい目で 見てたから…

ねぇ 気付いてた? 最後の日の朝に 机にあった落書き
皆で冷やかした「好きです」の4文字 私が書いたの

本当は 泣きそうだったよ でも 泣かなかったよ
卒業しても 会えるって 思い込みたかったから

本当は どう思ってたの? あの頃の私を
聞けないままで 答えをなくした 途中までの方程式

本当は 大好きだったよ でも 言えなかったよ
毎日がただ 楽しくて 壊したくなかったから

遠くへ かすんでゆくけど あの頃の思いは
今の私を 導いてくれた 途中までの方程式
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