巻き貝とわたし

霞の中横たわる巻き貝に
そっと耳をあて
あなたがいま心に秘めるものを
感じてみたなら

打ち寄せながら引いては返す
遥かな遠い昔の海の音

謎めいた祈りを捧げるような
あなたのつぶやき
いつか見たサメの牙も真珠も
忘れてしまいそう

振り返らず白いカモメと
果てまで飛び去ってしまえばいい

巡りあえば波にさらわれるのは
いつでもあなたで
佇むことそれだけしかできない
どこへも行けずに

寂しい夜に浜辺で気づく
わたしはあの巻き貝の夢の泡

振り返らず白いカモメと
果てまで飛び去ってしまえばいい
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