魚の歌

夕暮れ時のスーパーの
鮮魚売り場で僕は偶然に
100円引きの魚と目が合った
そしたらなんか突然に
「君、死んだ魚みたいな 目をしてるね」
って、魚に言われた
笑えない冗談だ
魚には言われたくないけど

変わりたいなんていつも思いながら
寝て起きて息をして、日々こなしてるだけ
笑う事も涙を流す事も
怒りに震える事も最近少なくなった

そうです、僕は君なんです
スーパーの棚に並んでいる
100円引きの活きの悪い魚なんです
辛い事なんてないし
運命だと受け入れてしまったら
悩む事さえ稀なもんです
なんて風に言えたらなぁ 幸せかなぁ
そんなわけあるか

この体に流れる体液が瞼超しに見えるけど
そんなのよりもっと生きていることの証が欲しい
赤い血なんてそこの魚でも流れるぜ

消えたってさ いいけどさ
痛いのはやっぱさぁ嫌なんだ

変わりたいなんていつも思いながら
寝て起きて息をして、日々こなしてるだけ
生きていることの証が欲しい
なんて思いながら今日だって酒飲んで寝るだけだろうな

夕暮れ時のスーパーは
いつもどおり賑わっている
行き交う人の匂いと音がする
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