東京未明

各駅停車 いくつ見送って
私は何を 待ってるのかな
低い空を 深く吸い込めば
東京の味がした

口ずさむ故郷の唄 人波にかき消されて
「大切なものは見えないよ」と 吹き抜ける風の中

東京未明、聴こえる 違う誰かの靴音
急ぎ足で景色は変わる 悲しみ置き去りにして
何処へ行くのこの道 私、うまく笑えないよ
いつの間にか夜に包まれて 一人言つ「東京」

しゃぼんの中 逆さまに映る
淡い光と リンドウの花
時は流れ 一人きり私
東京に身を寄せた

踏切の向こうに浮かぶ 音のない交差点
頑張れと手を振る君の声を いつまでも探してる

どうして息をするほど この胸苦しくなるの
ぬるい水を少し流して ゆっくりと顔を上げる
何処へ行くの異邦人 次の列車は来ないのに
流れ星も見えない空から 振りそそぐ「東京」

未だ明けぬ「東京」
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