泥濘に住む男

消したくて 消えなくて
消えたくて 消せなくて
朝が濁り
溜め息濁り
又後悔と戯れて過ぎ去る

『戻れない』
『否、戻らない』
『道がない』
否、道を知らずに明日へと旅立つ

吹き付けろ 打ち付けろ
打ち付けて 打ち抜いて
黄泉の国へ我を誘え
修羅の闇を彷徨える世界へ

『歩けない』
『まだ止まれない』
『ホラ、笑う顔』
否、笑う顔さえ光を遮る

泥水に身を横たえて
待っている 君が来るのを

『いずれ又会おう、
ぬかるむ街角で。』
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