あじさいの別れ

うれいをこめて 秘かに咲いた
あじさい匂う 別れ道
添えぬ運命に 身を引く人の
うしろ姿を 小雨がかくす
音もなく 恋に散る あじさいの花よ

うなじに そっと 唇よせて
おまえが好きだと 言った人
肩に甘えた 相々傘で
あなた心に まかせたわたし
恥じらいに 頬そめて 愛を知った夜

季節の中で いつかは褪せる
あじさいの色の いじらしさ
呼んで届かぬ 面影だけど
胸にこころに 離さず抱いて
幸せを 振りかえる あじさいの夢よ
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