流氷の手紙

あの日と同じ 便箋に
右上りの文字が
立ち上りながら
思い出を 登るように並ぶ
障子越しに 聞こえる
雪が風に流れて
忘れられぬ思いが
この胸に積る

遠い北のはずれで
手紙を書けば ああ 涙で乾かない
北のはずれで 手紙を書けば
愛が…愛が凍える

あの日の心に封をして
忘却に流せば
瞳の岸辺に流氷が
軋むように泣いた
地図にさえも載らない
錆びた駅のホームに
道案内残して この胸を辿る

白い北の岬に一人佇み
ああ 海鳴り聞きながら
北の岬に一人佇み
涙…涙 凍える

そして消印のない旅に
あの日から戻れない
恋の行方

遠い北のはずれで
手紙を書けば ああ 涙で乾かない
北のはずれで 手紙を書けば
愛が…愛が凍える
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