羅臼の男

流氷鳴らす 冬将軍と
男どうしの 酒をくむ
さいはて港の 漁師らは
演歌が似合いな 荒武者だ
いちばん船の しぶきの華に
羅臼魂の 陽がのぼる

国後あとに 北海漁場
船よたら腹 喰わせるぜ
吹雪の巻き舌 くぐりぬけ
漁師は度胸で 稼ぐのさ
あぐらに抱いた わが児の笑みが
もぐる舳にヨ ふと浮かぶ

百キロ先の 大地が匂う
かえり潮路だ 知床よ
女房が恋しい 男らの
情けがほどける ねぐらだぜ
丸太のように かじかむ指に
羅臼魂の 陽が赤い
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