総司絶唱

「死んじゃいやです」
「バカを言うなよ」
さしかける 蛇の目の傘を たたく雨
花にそむいて 命をかける
バカな男の バカな男の うしろ影

夢かうつつか いまもなお
すすり泣いてる 虫の声
なにを未練な 草枕
咳をこらえりゃ 血を掴む
せめて生きたい 二十歳まで
嵐のあとの 曙を
ひと目みるまで 死ねないと
抜いた白刃は 理心流(りしんりゅう)
「誠」一字を 貫いた
新撰組の 散りぎわと
男総司の 暴れ斬り

「きっと帰って」
「生きてみせるさ」
大文字 水に燃えてる 加茂川に
浮いて流れた ふたつの夢よ
沖田総司の 沖田総司の 夏が逝く
×