旋律

やわらかな雨のように
ひっそりとあたたかく
いつの間にこの胸に
染みこんでいたひとよ

奏でる旋律は優しいほど残酷で
すべての言葉があなたの前で無力になった
流されて、流されて、失うことだけが
あなたを愛するすべだと
知っても好きだった

やわらかなこの雨を
どの街で見ているの
ひと粒に紛れこみ

舞い降りる幻想(ゆめ)を見た

帰れぬ旋律をこわくて今は聴けない
すべての記憶をゆるせる日まで蘇らないで

もう二度と、もう二度と、傷つくことはない
あなたと一緒に痛みも
失くしてしまうから

雨粒が線になり降り注ぐ矢の音でかき消して

雲間からひとすじの光がこぼれてる
音のない世界の中へ 傘を閉じて行くわ

流されて、流されて、失うことだけが
あなたを愛するすべだと
知っても好きだった
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