はたちの詩集

花の命の 短さを
初めて知った 哀しさに
青いインクも 滲(にじ)んでる
めくれば はらはら
涙こぼれる はたちの詩集

初恋!! なんてさびしい言葉なんだろう。
あの娘はとうとう俺から離れて遠い、遠い所へ行ってしまった。
このままもう逢えないようなそんな気がしてならないんだ。
長いまつ毛、可愛い唇(くちびる)……思い出すのはよそう、
初恋なんて、どうせ、どうせこんなものなんだよ。

白い野菊の 押し花も
昔の歌を 誘うだけ
若いこころに 抱いていた
あの夢この夢
消えてはかない はたちの詩集

たった一つのあの娘の形見だけれど、
いっそひと思いに焼いてしまおう、こんな詩集。
許しておくれ。持ってるととても辛いんだ。

忘りょとすれば なおさらに
切なく浮ぶ 面影よ
青い表紙も 色褪(いろあ)せて
想い出ばかりが
沁みて哀しい はたちの詩集
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