なでしこ

好き勝手に 自分の道を歩いてきた僕には
偉そうなこと 言えた義理じゃない
飽きもせず 同じ小言を繰り返される度に
心にもない 憎まれ口を叩く

引き出しの底に眠っていた
一枚の古い写真
泣きべそかいた僕を抱き上げる
懐かしく 優しい笑顔

『愛』がそっと 満たしてゆく 時を越えて
知らず 知らず 乾涸びてた
僕の心を潤す
『ありがとう』って ただ素直に 言えないから
ほんの 少し頑張って
なでしこの花一輪 贈るよ

あの写真の中のあなたより
年上になった僕は
自分のことだけで精一杯
思い遣る 余裕もなくて

当たり前に 大人になり 振り返れば
どんな時も帰る場所は
あなたなんだと気づいた
『ありがとう』って 胸を張って 言うその日を
ほんの 少し待っていて
笑って見守ってて

『愛』がそっと 満たしてゆく 時を越えて
知らず 知らず 乾涸びてた
僕の心を潤す
『ありがとう』って ただ素直に 言えないから
ほんの 少し頑張って
なでしこの花一輪 贈るよ
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