女・十年

肩が触れあう ただそれだけで
こころが燃えた 泣けてきた
にじむ瞼に くちびる寄せて
涙をすすって くれた人
烈しい恋は 蜃気楼
やさしい夢は 走馬燈
…… あれは十九の 春おぼろ

たとえ小さな 過失(あやまち)だって
許せばいつか 火傷する
あなたしかない わたしにとって
死ぬより切ない ことでした
烈しい恋は 蜃気楼
やさしい夢は 走馬燈
…… 窓に木枯し 舞う落葉

風の噂じゃ 夕陽のように
ただれた暮し してるとか
胸のすき間に いいことだけを
埋めて今夜も 爪を噛む
烈しい恋は 蜃気楼
やさしい夢は 走馬燈
…… 外は簓の 雪模様
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