天草の女

船が出る度 泣きじゃくる
女も昔は いたとか聞いた
不知火(しらぬい)舞台に 漁火が
追って行けよと 云うけれど
天草捨てて 生きれない
あなた急いで ドラが鳴る

きっと帰ると 云わないで
断ち切る心を 迷わせるだけ
三十余島(さんじゅうよしま)を 胸に抱く
天草ふたりで 越えたって
暮らせやしない 女です
ここであなたを 送らせて

嬉しかったわ この私
誰より優しい あなたに逢えて
半年一年 過ぎたなら
どこか知らない 消し印の
葉書でいいの それだけで
せめて一言 あるだけで
×