浪花物語

河内木綿の 暖簾の角を
仇みたいに 握りしめ
肩をふるわせ なぜ背を向ける
もとの他人に 戻ろやなんて
言わんといてや 言わんといてや
泣かさんといて

「どこぞに好え男おったら一緒になってくれ!!」
阿呆臭さ。そんな男はんがいはったら、
とうにそっちに行ってます。
逢うたが因果のうちとあんた、
行くとこまで行かな、しゃあないやないの
そうか。そら気が楽や。
覚悟してついてきてくれるか? おおきに…。

義理に背いて 駆け出す巷に
遠慮しいしい 舞う小雪
まるで二人の 身の上みたい
遅れ勝ちでも 花咲く春が
きっと来るから きっと来るから
待とうやないか

もう何もいわん。つれそうて一生詰まらん
五合徳利みたいに言われたら、かっこ悪いしな。
ま、せいぜいきばらして貰いまっせ。
あぁ、うれしいこっちゃ。あてにしてあてにならん
お人やさかいに、大きい夢みんようにして、ついて
行かして貰います。なァ、あんた。

ねんねころいち “天満の市”が
水面騒がす なさけ船
宵にまぎれて 何処まで行きゃる
あんた頼りゃ
お前が頼り
死ぬも生きるも 死ぬも生きるも
この先ふたり

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