わかれ港町

このまま別れてしまうには
はかなすぎるよ 淋しすぎるよ
一日のばしの わかれ港町
細い女の 泣き声が
つれて行ってと こころにからむ

左の手首の 傷あとを
かくす袂よ 古い傷みよ
見るさえかよわい 浜の蛍ぐさ
死ぬの生きるの 云うような
どこに烈しさ かくれていたろ

半分しあわせ あきらめた
肩の寒さよ 胸の薄さよ
霧笛がかなしみ ゆるす旅の宿
酔った寝顔の おさなさに
夢よやさしく こぼれておくれ
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