旅路

水にこぼれた からたちの
白さ眩しい 川の岸
どこまで行くのか あの花は
旅路の夏に ゆらゆらと
あゝ風渡り… 想い出させる遠い女

鴎おまえも 淋しいか
今の霧笛も 別れ船
名もない港の とまり木で
旅路の秋に ほろほろと
あゝ風渡り… 友を偲んで月見酒

母の手紙(たより)の なみだ文字
照らすほのかな 雪灯り
ごめんよごめんと そればかり
旅路の冬に しんしんと
あゝ風渡り… 山も野末(のずえ)も夢の中

人を恋うれば 散る花も
雨の音さえ 子守唄
このまま行こうか 帰ろうか
旅路の春に しみじみと
あゝ風渡り… 叫んで泣かせる故郷(ふるさと)よ
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