高瀬舟

ほどいた帯を たぐりよせ
抱かれりゃ切ない 忍び宿
遠く聞こえる 鐘の音が
添えない二人の 胸こがす
行きたい行けない 戻れない
どこへ流れる 高瀬舟

あなたの好きな 口紅をさし
逢瀬を重ねる 戻り川
淡いせせらぎ 聞きながら
眠ればこの身が また燃える
恋しいつらいと 涙ぐむ
海に出れない 高瀬舟

はかない夢と あきらめりゃ
心のすきまに 風が鳴く
たった三年の 恋なのに
月日の重さに 櫓がきしむ
ぬくもり残り香 ゆれる影
明日に竿さす 高瀬舟
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