恋暦

あんたの背(せな)を 止まり木に
泣くだけ泣いて 明け烏
切れぬ未練の糸を 爪弾きの
三味に託して 黄楊の櫛
つもれつもれよ 白々(しらじら)と
わすれ雪

螢は闇を 恋しがり
蝶々は花を 恋しがる
わたし欲しがるあんた 待ってます
渡り比べて この川の
水の甘さに 気づいたら
帰ってこ

秋には赤い 紅葉酒
冬には白い 雪見酒
分けた寝酒の酔いが 冷めぬまに
二年三年 五年分
愛の形見が 残るよう
抱きしめて
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