赤い夕陽の三度笠

これで喧嘩はあのすみやした
さらばでござんすお達者で
一羽がらすか一つのしみか
赤い夕日の 三度笠
消えてゆくのがこの身を引くが
旅でござんす お雪さん

縞の合羽の肩身もせまく
どこまで引いてく長い影
背のびしながら奥久慈河原
泣いて見送る 山もみじ
風にまじった 二声三声
聞いておりやすお雪さん

行こか戻ろか 月居峠
行くなら日立よ戻りゃ水戸
なんでお月さんあの通せんぼ
映るあの娘の 涙顔
ご恩返しか惚れての長脇差か
どうか堅気で お雪さん
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