香港の薔薇

霧がつめたい 香港の
夜の底から 拾った女
赤いドレスに 黒薔薇つけて
語る言葉も やけにくずれた 日本娘
沖のジャンクを 見つめてた

故郷は神戸か 横浜か
訊けば辛かろ 身の上ばなし
夢と地獄の うず巻く島で
生きているさえ 何故かいじらし 日本娘
泪かみしめ 踊ってた

連れて逃げるにゃ この俺も
どうせ行く先 あてない躰
薔薇の花びら 夜霧の海へ
泣いてちぎって 捨てて別れた 日本娘
あれが名残りの 酒だった
×