悲恋華

春には春の 花が咲き
秋には秋の 花が咲く
季節の外に 咲くかのように
うちすてられた 悲恋華の
花は淋しく 散ってゆく

散りしく花を 踏みつけて
無情に人は 往きすぎる
実らぬ恋に 泣く花もあり
よろこびあふれ 熟れし実を
ふたり貪る 恋もある

あざみの如き 刺をもつ
心の花よ 初恋は
実らぬとても 愛しき花よ
叶わぬ恋に 身を焦がし
胸の谷間に 散らす紅
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