望郷しぐれ

縄の暖簾に そぼ降る雨も
北の津軽じゃ 雪になる
思い出すんだ こんな日は
故郷に残した おふくろを
すまぬすまぬで はや五年
帰りたい 帰れない
かさねた不孝ばかり
やけに気になる夜だ 望郷しぐれ

林檎畑の 香りを乗せて
昨日届いた 小包よ
指のささくれ 噛みしめりゃ
今もこだます 木挽き唄
腹で詫びてる 筆不精
帰りたい 帰れない
気やすめひとつ書いて
あとの言葉が出ない 望郷しぐれ

知らぬ同志が 肩よせあって
苦労忘れる コップ酒
きだてのいい娘を 嫁にして
きっと迎えに 戻るから
待っていてくれ 達者でな
帰りたい 帰れない
祭りもとおに過ぎて
岩木は吹雪の中か 望郷しぐれ
帰りたい 帰れない
やるだけやってみるさ
俺は男じゃないか 望郷しぐれ
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