鴎の女

雨が港に降る夜は
胸が濡れます恋しくて
ひとり小窓で くち紅ひけば
夜の海峡 霧笛が走る
かもめ、かもめ、かもめさん
ばかだね、あんた…
本気で男に ほれたりしてさ

港(ここ)でおまえとくらせたら
そんなあの日の膝まくら
はるか沖合 漁火(いさりび)ゆれて
夜の海峡 未練が走る
かもめ、かもめ、かもめさん
無口な、かもめ……
少しはあんたも 利口におなり

泣いてもどらぬ人なのに
なんでこうまで抱かれたい
酔いにみだれて ため息つけば
夜の海峡 時雨(しぐれ)が走る
かもめ、かもめ、かもめさん
泣き虫、かもめ…
あんたもひとり わたしもひとり
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