夫婦あかり

うれし涙で 暖簾をかけて
両手あわせる 浪花の春よ
夫婦あかりは いのちの灯り…
庖丁持たせりゃ 日本一と
あなた信じて あなた信じて ついて来た

「両親(おや)の反対 押し切って
千日裏の 三畳一間
夜逃げ同然に 八尾・上六・天王寺…
ほんま ほんまに 夢のようや
こうして道頓堀に ふたりの店が持てるなんて
あんた…
やっとうちらにも 運が向いてきたんやなァ」

雨の屋台の 三々九度が
苦労はじめの 路地裏ぐらし
夫婦あかりは 想い出灯り…
好きなお酒も 辛抱してる
うしろ姿は うしろ姿は つらかった

「あんた たまには ごんたして来なはれ
どっかで気ィ抜かんと 息切れしまっせ
なあ うちかてがんばるさかい かまへんやないの
帰って来たら あんた
また せいぜい気ばってや」

泣くも笑うも ふたりと決めて
渡る浮世の 八百八橋
夫婦あかりは いのちの灯り…
味で売り出す 男の夢を
影で支えて 影で支えて 生きてゆく
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