千姫

天を揺がす 砲声に
戦(いくさ)かいなき 陣太鼓
あゝ秀頼の 妻として
散らんと願う 千姫の
涙も燃える 夏の陣

城を守るは 我が夫
城を攻めるは 祖父と父
あゝ戦国の 世に生きて
亡ぶも勝つも 運命なら
幸せいずこ 大阪城

これが最期と 秀頼が
心静かに 打つ鼓
あゝたえがたき 今生の
別れの舞いを 赤々と
炎が照らす 天守閣
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