陽だまり

なんども潮どき 別れどき
思うばかりで すぐ負ける
いつか覚えた ひとり酒
花咲く春など いらないが
だらだら坂の 陽だまりを
…あなたに掴まり 歩いてみたい

軒先つたわる 雨の粒
壁の時計が 刻む音
無理に持たせた 女傘
忘れたふりして 置いて行く
くずれた髪に 櫛を入れ
…あなたを気づかう わたしはおんな

あなたは背中で 格子戸を
閉めてまぎれる 夜の闇
せめて朝まで いて欲しい
ぬくもり残した 膝かけを
いつものように 噛みしめて
…わたしも背中で さよならするの
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