越後情話

角巻(かくまき)の 雪を払いながら
熱燗(あつかん)にしてと 女は声をかける
おちょぼ唇(ぐち)してさ 少しやけっぱち
へいへいと 愛想よく
七輪(かんてき)の 火を煽(あお)ぐ
おやじの息も白い
あゝ 越後六日町

男って みんな嫌いなのさ
独白(ひとりごと)言って 涙をかくすたび
せまい屋台がさ やけに華(はな)やぐね
なじめない お座敷を
逃げだして きたのかい
乱れた裾にのぞく
あゝ 仇(あだ)な緋(ひ)ぢりめん

こんな妓を 泣かすやつの気持
わからないねぇと 男が差す酒を
どうもありがとう なんて言っちゃって
受けとめる 色っぽい
まなざしが 可愛いくて
心の雪もとける
あゝ 越後六日町
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