雨の宿

「ついておいで」と誘われ
「だめ」といえずにうなずいた
また…逢ってしまったの
恋と不義理に渡した橋の
たもとで揺れる迷い傘

悩みためらい引き返し
越えてしまった恋の川
また…逢ってしまったの
「これが最後」と泣き出す指を
キリリと噛んだ悪いひと

髪を手櫛で梳きながら
離さないよと抱きしめる
また…逢ってしまったの
「帰らなけりゃ」と問う唇を
無理やりふさぐ雨の宿
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