おんな坂

仮寝の宿を捜し 飛ぶ鳥が
私の身がわりに 鳴きじゃくる
あなたが恋しい こんな夜は
雨の音さえ 沁みるおんな坂
この肩に番傘 あなた差しかけて

切り花ひとつ添えて 飲むお酒
暖簾(のれん)も色あせた かくれ茶屋
こぼしたしあわせ 目で追えば
涙しずくに 霞む おんな坂
抱きしめてください あなたここに来て

湯あがり後の肌も 寒すぎて
憎さと愛しさの 板ばさみ
暦もあれから ふたまわり
夢もおぼろに ゆれるおんな坂
切なさに今でも 胸が淋しがる
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