まだ乾かない油絵に

おずおずと 君を見つめては
絵筆とり 心の白いカンバスに
その姿 写し描く遠い日

まだ愛の 形も知らないで
ひと筆の 赤い絵の具 添えれば
画き終える筈の その日の別れ

時間の上を ただ あなただけが
素直に歩いていたんだね
立ちすくむ僕の腕に君が残した
黄色いバラの花言葉

鈍(にび)色の 雨が降りつづく
あれからの 僕の胸の痛みを
ふきはらう 君の君のおとずれ

時間の上をただ愛の絵筆が
自由に踊っているんだね

まだ乾かない油絵に書き添える
白山査子(しろさんざし)の花景色
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