北酒場

ドアを閉めても 何処からか
雪が酒場に しのび込む
逃げたおんなが 残していった
ふるい怨歌の レコードが
北の酒場にゃ よく似合う

死んで花実が 咲くじゃなし
生きて明日が あるじゃなし
おれもおまえも 似たもの同士
嘘でかためた 身の上が
北の酒場にゃ よく似合う

だれがゆこうと 帰ろうと
おれにゃ他人の かよい船
夢もわびしく 造花のバラが
春を待つのか ドラをきく
北の酒場にゃ おれ一人
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