母ごころ宅配便

風邪をひくなと 送ってくれた
綿入れ羽織が 泣かせるね
心づくしの 宅配便に
一枝(ひとえだ) 添えた 紅梅(こうばい)の
花は 花は 花は
わが子に賭ける 母の夢

蝶よ花よと 育ててくれた
苦労は涙の つづら折り
男女(おとこおんな)と 指さされても
化粧も せずに 働いた
愛を 愛を 愛を
夕陽に偲ぶ 母の恩

生まれ故郷を 忘れるなよと
ちりめん鰯(いわし)も 入れてある
磯の香りの 宅配便は
街より 一歩(ひとあし) 先にくる
春を 春を 春を
わが子に送る 母ごころ
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