雨ニ唄エバ

いつもより低い空。
少し寂しくなる。
うつむいて僕は歩いてる。
雨粒が落ちてきた。
丸い跡になる。
灰色の道に残ってく。
傘の中で僕は微笑む、
見えないように隠れて。

絶え間なく降り注いで。
僕が「雨ニ唄エバ」
はしゃいでる目の前が
全部ぼやけていく。

雨の糸。涙色。
(泣いているのは誰?)
濡れている左側の肩。
手で作るフレームに
閉じ込めてみるよ、
むかし観た映画みたいな今日。
傘の中で聞いてる雨音、
ひとつひとつが優しい。

絶え間なく降り注いで。
僕が「雨ニ唄エバ」
はしゃいでる目の前が
全部ぼやけていく。

絶え間なく降り注いで。
僕が「雨ニ唄エバ」
はしゃいでる目の前が
全部ぼやけていく。
雨粒が残していく
丸い小さな花が、
道の上、いっぱいに
咲いて広がっていく。

咲いて広がっていく。

咲いて広がっていく―。
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