都会の隅で

ようやく長い冬の 終りを告げる風
町を歩く人の 影もやわらかい
ひとりで暮しだして 一年過ぎたのに
何故かなじめないの 華やぐ都会には

友達は恋をしてると うれしそうに
人の気も知らず電話の笑い声
部屋を花と写真で 飾りつけて
故里の冬に 眼を閉じる

流行の服を着ても 通りを歩いても
いつも満たせないの 胸の淋しさは
お酒の味も知った 人並に恋もした
だけど倖せには なれずに終ったの
人前で決して泣いたりしないけれど
悲しみは今も側から 離れない
眠る前の紅茶の 白い湯気に
故郷の冬が 揺れている

友達は恋をしてると うれしそうに
人の気も知らず電話の笑い声
部屋を花と写真で 飾りつけて
故里の冬に 眼を閉じる
×