かどわかされて

あぶれるすべてはありふれるよ
デパートメント
瞬きひとつしない
光りに満ちている
華やぐ世界の陳列はどこまでも
あぁ、夢を餌に手ぐすね引く
仕掛花火のよう

売り場は空寝の欲望のゆりかご
美しい品々をかざした視線の先
塵が踊る

かどわかされた
他愛のない審美眼
甘い誘惑 溜息まじり
あばずれの毒(プワゾン)
黄金に恋焦がれ
あやかしいまやかし

垂れ込めた雲の下腹を突く
デパートメント
装いも新たに!
凡庸なボサノヴァ
めぐる季節の変わりめには
誰も彼もが
シナをつくる招き猫に
とり憑かれっちまう

微熱に水を向けられて魔がさした
手癖の悪い女のきわどさに
耳を澄ませてみな
舌を巻くよ!

かどわかされた
他愛のない審美眼
甘い誘惑 溜息まじり
あばずれの毒(プワゾン)
真綿の枷 鼻歌まじり
名誉市民 集う

飴色ショーウインドーの灯が
暗い顔を照らすよ
掃き溜めの星屑
わだかまり
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