スローモーション

午前十一時。
青梅街道は何時にも増して緩い
春は死んでいる 血を流している
柔らかい青の下で

スローモーションで崩れる顔
みんな消えちゃうんだなあ
忘れちまうんだなあ
正午過ぎて空気が濁る
見えざるものが見えてくる

そして桜の花が狂ってる
突き刺さる様に
花は散るよ 花は散るよ
四月の街が狂ってる
笑顔が滲むぜ
破顔一笑

知っている 解っている
祈り飽きているんだ 呆れ果てているんだ
影は病んでいる 雨は止んでいる
溢れ出しているんだ そして枯れてゆくんだ

泣きたいなら泣きゃあいいのによ
なんで泣けねえんだろう
笑っちまうんだろう
三時過ぎて欠伸をしてる
いつもの声が呼びに来る

そして桜の花が怒ってる
燃え落ちる様に
花が舞うよ 花が舞うよ
四月の街が狂ってる
笑顔が滲むぜ
破顔一笑

ボンヤリ ウットリ 眺めている
来る春を 行く春を

そして桜の花が狂ってる
降り注ぐ様に
花は散るよ 花は散るよ
四月の街が狂ってる
笑顔が滲むぜ
破顔一笑 スローモーションさ
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