卒業-GRADUATION-

緑の木々のすき間から
春の陽射しこぼれて
少し眩しい並木道
手を翳して歩いた

あの人と私は
帰る時はいつでも
遠廻りしながら
ポプラを数えた

4月になるとここへ来て
卒業写真めくるのよ
あれほど誰かを
愛せやしないと

誕生日にはサンテグジュペリ
ふいに贈ってくれた
一行おきに好きだよと
青いペンで書いてた

あの頃の二人は
話しさえ出来ずに
そばにいるだけでも
何かを感じた

4月になるとここへ来て
卒業写真めくるのよ
あれほど誰かを
愛せやしないと

4月が過ぎて都会へと
旅立ってゆくあの人の
素敵な生き方
うなずいた私
×