螢の灯籠

幾千万の雨は 銀の絹糸
金の風に揺れて 時を織りなす

御簾越しに あなたの笑い声が響く
神遊びにも似た 胸の高鳴り

花の雨に打たれて
我身の迷い消す
花の闇であなたが迷わないよう
蛍を集め灯りをともす

朱に交わろうとも 染まりはしない
そんなあなたらしさ 見守りながら

現身の自分と 幻夢の自分を
貝合わせのようにさがしてしまう

花の風に吹かれて
遥かな誓い 抱く
花のようなあなたを照らし続けよう
蛍のごとく ただ密やかに

草木の私語 樹々の深い瞑想
息づくもの達があなたを慕う

花の闇に埋もれて
静かな夜明け 待つ
花のようなあなたを守り続けよう
花冷えの中で 心は熱い
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