父娘のれん

雪になりそな 夜やから
暖簾をおろして 父娘(おやこ)で 呑もか
添えぬお人に 惚れぬいて
意地を通した 親不孝
口にだせない 詫びがわり
お酒 注ぎたす カウンター

四十代(しじゅう)なかばで この俺を
残していったと ため息ついて
お酒 はいれば 母さんの
思い出ばかりや そればかり
外は小雪か 夜も更けて
親の惚気(のろけ)に 目がうるむ

梅も凍える 如月(きさらぎ)に
灯りがこぼれる 裏街通り
酔って眠った父さんに
赤いコートを 着せかけりゃ
ほっとしたよな 母さんの
写真相手に 手酌酒
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