漸近線

通り雨の気まぐれが 君の髪を濡らす
放課後の窓辺には ぬるい風が吹いた

夕暮れ 街は よそよそしく
集う 影に シミを落とす

あなたの言葉と 僕の沈黙は
同じ意味を持つから一人電車を降りた

忘れるための夢を 書き留めて話した
朝は君にとっての 掴み損ねた憧れ

小さく バターを切る姿が
滲む 影に 溶けていく

オレンジの飛行機雲が描いたの
線路上で無くした ものたち

どこでもない場所で 息を殺す二人は
声に似た気配と空を見上げた

僕が一人でも生きられるとしたら
夜が来ない星に連れて行って

雲の上を泳ぐ涙が 君の髪に触れた日よ

日々が霞み続けるようで 誓うそばから
あなたが叫んでしまう 子供になれない

僕が思い出せない愛を 描き終えたら
誰もが叫んでしまう 永久にさよなら
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