眠れ、シロクマ

きみを失った悲しみや
日々忘れて行く苦しみや
こんがらがった宇宙のねじれに
顔を出したきみは、シロクマ

拡がった心の片隅の
夕凪に伸びる影法師
損なわれることない想い出に
うずくまったきみは、シロクマ

ぼくら鍵の壊れた 部屋の中で過ごした
消えない思い胸に 一日中笑った

春が来て光に導かれ
固かった氷も溶けて行く
かつてあったかもしれない世界に
歩き出したきみと、シロクマ

できるだけ長くきみと
一緒にいたいと思った
きみがいなくなることは
わかっていたから

夏が終わりきみが去ってく
そしてぼくはひとり歌い出す
触れれば簡単に壊れる
脱け殻を残した、シロクマ

ぼくはここに残って できることをするよ
きみへの思い胸に 一日が過ぎて行く

きみにさよならをするために
きみのいる場所まで降りてきた
凡人の心の闇よりも
深い雪に眠れ、シロクマ
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