望郷子連れ鴉

蕎麦の花咲く 信州路
この子をよろしく 言われたら
後には引けねえ 義理がある
友(だち)が遺した 幼子(おさなご)を
無事に古里 帰しやす
男が歌う 望郷子連れ鴉(がらす)

朝は七色 槍ヶ岳
泣かない太郎坊(たろぼう) 哀(あわ)れんで
泣いてもいいぜと 言ってやる
親の代わりにゃ なれないが
この子あっしが 守りやす
涙で歌う 望郷子連れ鴉(がらす)

苔の生えたる 道祖神(どうそじん)
母親(おっかあ)いずこと 尋ねたら
かあちゃん死んだと 嘘をつく
涙こらえた 太郎坊(たろぼう)の
手取り古里 向かいやす
夕陽に歌う 望郷子連れ鴉(がらす)
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