仁吉の女房

よしておくれよ 藪(やぶ)から棒に
実家(さと)へ帰れと 戯言(ざれごと)は
三ヶ年(みとせ)想って 結ばれた
吉良(きら)の港の おしどり夫婦
なんで今さら 離縁状(りえんじょう)

縁(えん)に繋(つな)がり 仁義にそむく
それじゃ渡世の 嗤(わら)い者
お菊何(なん)にも 云うなよと
あんた長脇差(ながドス) 情けを斬(き)って
命捨て身の 荒神山(こうじんやま)

義理と意地との 男侠(おとこ)の世界
所詮(しょせん)おんなにゃ わからない
生まれかわった 次の世も
きっと女房と 背中に縋(すが)りゃ
おとこ仁吉の 眸(め)に泪
×