ピアス

見渡しても君の物は何もなかった
綺麗に片付いた部屋は本当居心地が悪かった
左耳にぶら下がったままのピアスにまた触れた
唯一残った君との繋がりだった

君の物で散らかった部屋の片隅だった
恐る恐る針を耳に押し付けて息を呑みこんだ
驚くほど痛くなかった
君とひとつになれた気がした
ひとりじゃない
そう思えた夜だったんだ

「一緒になれたこと何か形にしたいよね」
「対になってるのは半分ことかしたいね」
そう言ったからブチ抜いた穴
これからふたりの時間をここに刻もうなんて考えていたんだ

忘れないように 忘れないように
思い出すように 刻み付けるように
ふたりはひとつだったってこと
形にしてくれるピアス

君の物で散らかった部屋は愛おしかった
何に使うかもわからない物
増えていく感じたまらなかった
君の耳に触れながら「お前のだけやけに光って見える」
ってニヤけていた日々は
もう何処へいったんだ

イライラしたって意味なくて
ウトウトしたって夢に出て
バカバカしくなってまた泣けてきた
きっと今も綺麗に光っていて
誰かの前でつけているなんて
考えただけで吐き気がした
今だに突き刺す瞬間思い出しているよ

忘れないように 忘れないように
思い出すように 刻みつけるように
縋り付くように 取り戻すように
痛めつけるように 元に戻るように

忘れないように 忘れないように
思い出すように 刻みつけるように
ふたりはひとつだったってこと
形にしてくれるピアス
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