退屈な思い出

窓も開けたまま出かける 私と
電源も抜いて出かける あなた
目覚ましは五回で起きる 私と
少しの足音で起きる あなた

でこぼこがうまく上手に噛み合い
ちょうどいいバランスなんて思った
どこかまではあなただって きっとね
思っていたのでしょう

お風呂は熱めが好きな私から
すこし冷めたあと あなたが入って
それでも熱いと叫ぶ声がした
そうだね なんだろ 挙げればぜんぶ

退屈な思い出だ
ひとに話すほどのこともない
退屈な思い出だ
そのうち忘れちゃうんだろうな

ビニール袋を丸める 私と
綺麗に畳んで仕舞った あなた
いつから変わっていったか
考えても仕方ないよね

確かめあうほど衝突もなくて
譲りあうほどの主張もなかった
それでも二人が暮らしていたのは
どうしてなんだろ 思えばぜんぶ

退屈な思い出だ
ひとに話すほどのこともない
退屈な思い出だ
そのうち忘れちゃうんだろう

退屈な思い出だ
特別なことはなにもない
退屈な思い出だ
もう忘れたっていいのにな
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