MILONGUITA

鷺(サギ)色の肌を突き刺す夕陽
異国の香りが揺らめく部屋
二人にはサヨナラも謎めいて
吐息のタンゴに堕ちてくだけ

不思議ね あなた
憎む程 溺れてゆく
刹那の花が紅く 散り急ぐように

ああ この国では抱き合っても
愛の傷跡(あと)は残らない

ミロンギータ 淫らに頬寄せて
淋しい罪犯すだけの女ね
ミロンギータ あなたの腕の中
想い出の場面が火のように舞うわ
……激しく……

陽崩れの窓にバンドネオンの
切ない響きが流れ出せば
二人には短すぎた夢ねと
目線であなたの指を拒む

涙がひとつ
胸でガラスに変わっても
あなたに染めた愛は魔法じゃなかった

ああ 同じ空に乱れながら
同じ星に眠れない

ミロンギータ 淫らに頬寄せて
孤独な夜 踊るだけの女ね
ミロンギータ 最後の言葉より
目を伏せたあなたの優しさが全(すべ)て
……このまま……

ミロンギータ 淫らに頬寄せて
淋しい罪犯すだけの女ね
ミロンギータ あなたの腕の中
想い出の場面が火のように舞うわ
……激しく……
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