かえり船

波の背の背に 揺られて揺れて
月の潮路の かえり船
霞む故国よ 小島の沖じゃ
夢もわびしく よみがえる

捨てた未練が 未練となって
今も昔の 切なさよ
瞼合わせりゃ 瞼ににじむ
霧の波止場の 銅鑼(どら)の音

熱いなみだも 故国に着けば
うれしい涙と 変るだろ
鴎ゆくなら 男のこころ
せめてあの娘(こ)に つたえてよ
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